PURE SOURCE STORY

純粋な源の物語

「イレモノ」/裕樹

 

展覧会に出すために、腕の入れ物を探してた。
文字通り腕である。肩から指先までの、球体関節のあるオブジェ。
薔薇を持つことだけは決まっていた。
しかも紙の薔薇がいいと思っていた。
でもイレモノが決まらない。
飾る方法が決まらないのだ。
360度どこから見ても見えるようにもしたかった。
どんなに悩んでも時間というものは来るのだけど、それはふとしたことで解決した。


おがさんとヒラタ氏の結婚式だ。そこで私は劇的な解決方法を見つけたのだった。


結婚式の話もしなくちゃいけない。
全部セットだからだ。


ウエルカムドリンクやウエルカムフードのお出迎え、落ちついて静かな空間におがさんの気配を感じる世界。
新しいけどなんだか懐かしくて、結婚式もどこか新しくておもしろくて、そうしてかわいらしい。


そういう結婚式そうした披露宴だから私はふと気がつくことができたのだ。


テーブルの上の美しい違和感。
大きな筒状の花瓶の中には花があった、しかも、水で満たされ、花は水中にあった。
筒の中の水。水中の花。そうして余興で踊る紅月鴉海氏。

指先が重さを伝え、軽さを伝え、踊るあの手があるならば。
 
筒状のものだ。
 
頭の中でリアルに絵が浮かんだ。
まだ腕は完成していないのに、これだと思った。
他の席の花の筒の中に腕がちらりと見えた。
ワイヤーなどの支えがなくて、でも腕そのものの支えできっと360度見ることができ
る。
どこからでも腕が見える。
くるくると客席を踊る彼女の腕そのものだ、と思った。
 
踊りを見ている間、おがさんが笑っているのが見えた。


この日を迎えるためにどれだけ準備を重ねたのだろうと思った。
二人が重ねた時間を紅月氏が踊るあの手の中で柔らかくまとめて、ふわりと広げているようにも見えた。
赤い糸が結ばれて、あの二人にしかできない生活がこれから始まるのだろうと思うと、胸が熱くなった。
 
結婚式の翌日、偶然にも私はおがさんと同じライブを見ていた。
並んでみるのはちょっと照れくさかった。
終わってから特に長く話すこともなく、またね、と手を振る。
結婚式と花と花瓶と踊りが思い出された。
 
帰宅後、私はすぐに筒状の大きな花瓶を購入した。
少しイメージと違った。でも筒状のものには違いない、と思った。
しばらくしてとあるお店でアンティーク調の(あるいはアンティークかもしれないが)ろうそくのランプを買った。
腕と花があって、照らすものだという意味が付加価値になった。
 

今も時々思う。
あの日がなかったら私の腕は完成しかなかったかもしれない。
そう思えば、アレが生まれるためには、おがさんの結婚式にでなくてはいけなかったし、その前にいくつかのステップがなくちゃいけなかったし、きっと線で描くようにそうなるべく導かれてもいたのかもしれない。


導きを間違えずに選んだら見えてくるものがあるのだと思う。
それを運命というならば、とても美しい運命だった。
 
人は運命のイレモノなのかもしれない。